TOPひだまり便り>第10号

 ひだまり理事長 小関 茂

 激動の時代と言われる平成17年度に入りました。障害者支援費制度も見直しの渦中にあります。私たちの「メープルリーフ」も制度そのものや支援費単価改定が実施される中で新年度もこれまでと変わらず、今まで以上のサービスを提供できるよう、どのように工夫をしたらよいのか事業計画や支援内容の充実を検討しております。

 ひだまりが設立された目的は結構欲張りで数多くありますが、直ぐに実行できることは限られます。16年度は以下のことを行いました。

 先ず「支援費制度指定事業者メープルリーフ」の運営。これまで全てが順調に走って来たわけではありませんが、何よりも利用される会員の皆さんのご理解、職員全員の意欲と担当理事の協力があってこそでした。

 ワークホームあおば工芸館の運営支援。あおば工芸館の職員もひだまりの職員になっており、これにより身分の安定を図り働きやすい環境作りの一つとしました。またあおば工芸館の職員は父の樹会青年学級の実働部門として、父の樹園と協力し毎月の青年学級の運営を支えています。

 相談案内の窓口として皆様のご利用に備えるため、各種資料の一層の充実を図りました。

 障害児者の将来を守る父の樹会の事務局部門。父の樹会も規模が大きくなり、専門的に運営する機能が求められます。対外窓口、バザー部と協力し献品受領や多くの品目の整理収納、定例発刊誌の原稿収集や作成と印刷配布、その他表面に見えませんが多くの地味で細かい業務があります。これらは父の樹園と共同で行うこともあります。

 成年後見制度の法人後見の検討につきましては、16年8月から月一回のペースで検討会(勉強会)を行いました。その結果、ひだまりが法人後見を行うことは、「メープルリーフ」を運営しているため利益相反が生じることにより不可能であるとの結論に到りました。今後は障害児者の将来を守る父の樹会と、どのような形での法人後見が良いのか検討します。

 16年度で出来なかったことや新しく取り組みたいことなど、次号で17年度の事業内容についてご案内します。

 支援費制度の新しいサービスが始まります!!
 昨年10月に「グランドデザイン案」が出てから、障害者福祉の諸制度に大きな動きがあるようですが、地域生活を支える居宅介護支援(ホームヘルプサービス)も大きく変わろうとしています。
 今回は、新しく始まる「行動援護」類型について、その概要を説明します。

「行動援護」というサービスが始まります(千葉市では5月から、県では原則4月から)
 支援費制度の中の居宅介護支援には、身体介護・家事支援・移動介護がありますが、基本的には身体障害者を基準に考えられたこともあり、実際は知的障害児者には利用しにくい部分が多くありました。新設された「行動援護」は、特に自閉症など行動障害のある方を対象に考えられた「移動介護」にかわるサービスで、危険回避したりパニックを抑えたりしながらマンツーマンで見守りをするもので、場所が限定されておらず、どこで見守りをしてもいいので利用者の方には非常に便利なものです。
残念ながら行動援護を行える事業者は少数です
 行動援護サービスは、行動障害に対応できるだけの専門的な知識が必要とされるため、『サービス提供責任者は実務経験5年以上、現場ヘルパーは経験2年以上が必要である』と決まっています。支援費制度開始から2年しか経過していない現在、この条件に該当する事業者は少数です。実際に支援にはいれるヘルパーも多くはありません。
 そしてこの要件を満たしていませんのでNPOひだまり「メープルリーフ」はまだしばらく「行動援護」事業者にはなれません残念ながら、千葉市内の事業者は、ほとんどが実施できないため、実際には「行動援護」を取得されてもあまり利用できないのが現実です。
「行動援護」を利用するには・・・
 ご自分のお子さんが「行動援護」に該当するかも知れない、利用したいと思われたら、まずは市のケースワーカーに相談ください。そのときに「行動援護」をできる事業者を確保しておくのが望ましいでしょう。というのも「行動援護」を取得すると「移動介護」は利用できなくなるからです。しかし身体介護や家事援助は行動援護と組み合わせて利用することが出来ます。
 実は、1年半後には、「移動介護」そのものがなくなり、一人のヘルパーが複数の利用者の方と外出を行うことのできる「地域生活支援事業」に移行されます。一年半後にはマンツーマンで外出が可能になるのは「行動援護」の方のみになる可能性があるのです。そうなると行動障害には該当しないが、マンツーマンでないと外出不可能な重度障害児者の外出支援が確保できなくなるかもしれません。サポートが必要な障害児者の余暇支援、社会参加はどうなるのでしょうか。

ヘルパー単価の大幅引き下げで各事業者は危機的状況になっています!
 もう一点、居宅介護の現場は大変な問題に直面しています。事業者の収入計算の基本になる「ヘルパー単価」が大幅に引き下げられることになったのです。『身体介護・移動介護の1時間30分以後はこれまでの半額以下』になりました。この単価ですと人件費の捻出もむつかしく、赤字は確実です。 このままでは、支援事業者の運営が成立たず、事業から撤退するところも出てくるでしょう。特に男性ヘルパーや若いヘルパーの雇用は絶望的です。また、利用者が長時間のサービスを希望しても、事業者が受けることが出来なくなってしまうかもしれません。高齢者のように、短時間利用しか出来なくなる可能性が大です。

「ひだまり」のこれからは・・・
 以上のような状況のなか、事業者が充分なサービスを提供できなくなれば、障害のある方の地域生活を支える基盤を失うことになります。NPOひだまりは他の事業者と連絡を取り合い厚生労働省への見直しの要望書を提出したり、千葉市の担当者にもメープルリーフが早く行動援護が実施できるよう働きかけています。今回の改正については、まだまだ情報不足です。というのも厚生労働省から詳しい事業内容が発表されていないからです。今後わかり次第すみやかにお知らせします。ご不明な点がありましたら、ひだまり事務局までお問い合わせ下さい。



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