TOPひだまり便り>27号(平成21年4月号)


 理事長より
 3月は卒業の季節、千葉大附属特別支援学校も3月16日に卒業証書授与式が行われました。
 今年も高等部2年で2名の生徒が就労のため途中修了し、そのうちの男子生徒が涙している姿が印象的で共感を覚えました。
 高等部3年卒業生11名のうち就労は2名、世間の不況の波は避けられず支援学校の卒業生にも影響を及ぼしているのか、先生のご苦労に思いが及びます。多くの卒業生は施設の利用で、それぞれ異なる施設の利用を選択しており、まさに施設は選んで利用する時代を迎えていると実感します。

 施設経営は障害者自立支援法の下に厳しい運営を迫られ、選ばれる側もこれまでの施設感覚から、新制度に基づく諸事業を経営する難しい舵取り感覚が要求されます。
 その中で時代に先駆けて新制度に移行した福祉法人は国中を見ても少数派であり、多くの施設は一部新事業を取り入れつつ、様子を見ながら移行締め切りまで待つ姿勢です。言い換えれば支援法は今年4月から見直しがされるものの、まだ安定した施策とは思われていないのが一般的な評価でしょう。
 社会福祉法人父の樹会も期限末まで移行を行わない方針を表明しており、傘下各施設とも移行するであろう諸事業の検討を行っている段階です。
(注)障害者自立支援法で定める移行期限は、平成24年3月31日までの政令で定める日の前日となっています。

 一方、ひだまりが運営する「メープルリーフ」は、障害福祉サービス事業者(行動援護・居宅介護)として、千葉市内では数少ない知的障害児者専門の事業者です。施設等とは違い、新制度の移行云々の問題はありませんが、経営は大変厳しい状況にあります。
 4月からの報酬単価改定は事前の情報で平均5.1%のアップとされていましたが、メープルリーフに適用される収入増は全体で3%程度です。新たに定められる資格要件や支援員研修その他様々な要件を満たす毎に10〜20%の加算がされる仕組みであり、事業者間で収入の差を生じる仕掛けになっています。
 また、移動支援事業については、メープルリーフが登録を行っている自治体では、千葉市のみ4月から単価の改定が行われ、こちらも3%程度の報酬改定が行われました。これらの報酬改定の詳細については、メープルつうしんで紹介します。

 4月からの障害者自立支援法の見直しは各事業者に対して、これまでより一層のサービスと質の向上を求めていますが、その割には福祉関連従事者の待遇にこれまで十分配慮してきたとは到底感じられません。
 こうした環境の中でメープルリーフは可能な限り良質なサービス提供に努めてきました。これからも変わらず利用者や保護者の方の期待に応ずることがメープルリーフの役割ですが、それを支える職員の努力に如何に応えられるか、ひだまりを運営する一員としての責務を覚えます。

 成年後見制度への取り組み
 知的障害者を対象とする成年後見制度については、千葉県内だけを見ても、弁護士、司法書士、社会福祉士など専門家集団を擁する船橋市のNPO法人PACガーディアンズを先頭に、法人後見活動を始めた団体から制度そのものへの取り組みを始めている団体など、私たちが取り組みを開始した3年ほど前から見ると格段の差で制度への理解と活動が進んできています。
 ひだまりがこれからどのようにこの制度に取り組んでいけるかを考えると、ひだまり自身が組織として後見人になる法人後見は、障害福祉サービス事業者として活動していますので、利用会員に対しては利益相反に該当するので実行できないことは、これまでもお知らせしている通りです。
 ひだまりの実力で可能な活動として、次のようなことに取り組んでいこうと考えています。
○制度そのものへの理解が広がるように広報やセミナーを続けること
○20年度で作成し配布した「この子の記録」の記入状況と記入結果から反映すべきことなどの調査
○家族や親族など本人に身近な者から先ず後見人になることを推進する。
○後見人になるための諸案内や資料を揃え、相談窓口の機能を備える。
○緊急に後見人が必要になった時は、PACガーディアンズと連携して対応する。
 ひだまりでは、「成年後見人になってみよう」とお考えの方のために、申し立ての手順や申し立て書類の書き方などの実務講座を21年度中に開催することを検討しています。詳細は、追ってご案内しますので、その節はぜひご参加ください。
 また、家庭裁判所は、最近は成年後見制度について親切に教えてくれるようになったと聞いています。一度、訪問されてみてはいかがでしょうか。
 ひだまりとPACガーディアンズとの関係については、これまで同様に千葉市支部と言う位置づけで、セミナー講師の派遣依頼、会員が後見人になった後の煩雑な事情発生時の相談先、第三者後見人が必要な場合の相談先・・・など成年後見に関する専門的なバックアップ先として緊密な連携を図っていきます。


サイトマップお問い合わせ